悪魔のアイテムGPS

探偵という職業柄、GPS発信器なるものは売るほど、というか売ったりレンタルもしている
私が探偵になった頃、ちょうどGPS発信器が世の中で認知され始めた
車の盗難、ペット、徘徊老人、子供の防犯目的で使用される事が多かったが、現在ではほぼ全てのスマホに搭載されている
それまでは尾行といえば、対象車両に対して調査車両は2〜3台、後ろに付いている調査車両が変わるがわる後方2台目くらいに着き、信号で切られてしまえば、バレないように信号無視して食らいつく
そんな尾行がオーソドックスだった時代がGPS発信器により崩壊した、それとともに探偵業の必要性も変化してしまった
「探偵に頼まなくても対象者がどこにいるのか分かってしまう」
これは今まで人類がモヤモヤしていた事が一気に解決できる魔法のアイテムなのだ
•うちの旦那今頃どこにいるんだろう?
•子供の帰りが遅いけど何してる?
•盗まれた車を発見できる!
しかし、人間関係のトラブルにおいて、この魔法のアイテムはさらに厄介な事を引き起こすようになってしまった
それは「依存•妄想•執着•疑心暗鬼」
便利な反面、ついついGPSの位置が気になり、5分置きに位置特定したくなる
そして、いつも同じ動きなら安心するが
GPSが予想と違う場所にいると
「浮気じゃないか?ここで接触してるのか?」
と10分その場所にいただけでも色々とよからぬ想像や妄想をしはじめる
そして、帰宅した夫に遠回しに確認してみる
何もしていない夫はやましい事もないので適当に受け流す
妻ははぐらかされた隠された嘘を付いたと確信する
それから夫に疑いの目を向ける
いつも疑心暗鬼な目で見られる夫は居心地が悪くなりふたりの関係性が悪くなる
妻との関係性が悪いので外での時間が増える
その事で余計妻が怪しいと思う
GPSを2分置きに見るようになる
家に帰りたくない夫は商業施設の駐車場などでスマホを見ながら時間を潰す
妻は商業施設で女と接触して、女の車でホテルに行っているんじゃないかと疑う
夫が帰ってきても、もう遠回しにも聞かず
浮気しているものだと確信する
ますます2人の関係性が悪化する
そしてとうとう夫がある女性と出会ってしまう
そして離婚話が始まる
と、妻からのストーリーだと
◾️浮気→GPS→浮気確定→関係性悪化→離婚
なのだが
真実は
◾️GPS→依存•妄想•執着•疑心暗鬼→関係性悪化→浮気→離婚
のケースもたまにあるのだ
人間生きていれば嘘も付く
すべてを本音や本当の事を話す人間なんていません
妻に内緒の趣味や自分だけの時間
言いたくない事もあります
相手が自分に対して言わない事や秘密にしていることを暴こうとする時
ほとんどは「見なかった方が良いこと」なのかと私は思います
もし見なかった事をしていたとしても
その人を事をその人だと受け入れて向き合う事ができると
その相手もあなたが自分を受け入れてくれていると感じるので
相手もあなたを受け入れて関係性が良くなる
人間関係において「執着、妄想、依存、疑心暗鬼」は相手との関係性を悪化させたり
社会生活に支障をきたしたりすることがあります
GPSは魔法のアイテムであり悪魔のアイテム
ただ単にアイテムであり本質的な問題は解決しないのです
GPSができた事により尾行の上手な探偵の需要は減ってきたかと思いますが
人間関係の本質的な問題を解決できるスキルが今の探偵には求められている
投稿者プロフィール

- 探偵歴20年 日本とタイで活動中 再現性の低い独自のトラブル解決方法が得意 アジア危機管理リサーチ所属 https://aa-tsc.com/asia/
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