近年、タイに進出する日本企業の増加は目覚ましいものがあります。しかし、それに伴い、企業を取り巻くリスクも多様化・複雑化しているのが現状です。社内外での不正行為、従業員による横領、取引先による詐欺、契約違反、さらには不当解雇やハラスメントといった労務問題など、違法行為や犯罪行為のリスクが格段に高まっています。

こうした問題は、一度発生すると企業の信頼性やブランドイメージに深刻な影響を与えるだけでなく、財務状況を悪化させ、最悪の場合、タイの現地法規に抵触し、多額の賠償や刑事罰といった法的措置を求められる可能性もあります。

私たちASIAN RISK MANAGEMENT LEGAL AGENCYは、タイにおける日本企業の皆様が安心して事業を展開できるよう、専門性と実績に基づいた企業危機管理専門コンサルティングサービスを提供しています。未然にリスクを防ぎ、万が一の事態にも迅速かつ的確に対応することで、貴社の事業を強力にサポートいたします。

貴社の事業フェーズや直面している課題に応じて、多角的なアプローチで危機管理を支援します。

法的リスク診断とコンプライアンス強化
 盤石な基盤を築く

企業活動において、現地の法規遵守は揺るぎない大前提です。しかし、タイの法規は頻繁に改正され、その解釈は複雑な場合も少なくありません。

現地法規の遵守状況の確認
貴社の現在の事業運営が、タイの会社法、商法、労働法、税法、個人情報保護法(PDPA)など、関連法規に準拠しているかを詳細に診断します。見落とされがちな法的リスクを専門家が徹底的に洗い出します。

労務・税務・契約関連のリスク診断
従業員の雇用契約、就業規則、賃金体系が労働法に合致しているか、税務申告や会計処理が適切か、取引先との契約書に潜在的なリスクがないかなど、具体的な業務プロセスにおけるリスクを評価します。

社内コンプライアンス規定の策定と運用支援
診断結果に基づき、貴社の事業内容に合わせた具体的な社内コンプライアンス規定の策定を支援します。また、従業員への周知徹底や定期的な見直し、運用状況のモニタリングまで、実効性のあるコンプライアンス体制の構築をサポートします。

契約書のレビューと交渉サポート
 トラブルを未然に防ぐ要石

契約書は、ビジネスにおけるリスクを管理するための最も重要なツールです。タイの商慣習や法的解釈を熟知した専門家によるレビューが不可欠です。

取引先との契約内容の精査:
新規取引先の契約、M&A関連契約、合弁事業契約など、あらゆる契約書について、貴社にとって不利な条項がないか、法的リスクをはらんでいないか、詳細にレビューします。

リスクを最小限に抑える契約条項の提案
現地法規や過去の判例に基づき、貴社を保護し、将来的な紛争のリスクを最小限に抑えるための具体的な契約条項を提案・作成します。損害賠償、紛争解決方法(裁判地・準拠法)、不可抗力条項など、多岐にわたる側面から検討します。

現地法律に基づいた契約交渉のサポート
契約交渉の場に同席し、法的知識と現地の商慣習を背景にした的確なアドバイスを提供します。貴社の立場を守りながら、円滑かつ有利な交渉成立を支援します。

内部不正・横領・詐欺の防止策
 企業の健全な運営を守る

企業内部で発生する不正は、発覚が遅れると深刻な被害につながります。事前の予防と、発生時の迅速な対応が鍵となります。

企業内部の監査・調査の実施
経理不正、横領、キックバックなどの疑いがある場合、または予防的措置として、不正会計監査や内部調査を実施します。証拠収集から事実解明まで、機密性を保ちつつ徹底的に行い、真実を明らかにします。

不正行為が発生した場合の対応指針の策定
万が一、不正が発覚した場合に、どのように証拠を保全し、誰が、どのような手順で調査を進め、関係者への処分や法的措置を講じるか、具体的な対応フローと指針を策定します。

情報漏洩・知的財産侵害対策の強化
企業秘密や顧客情報の不正持ち出し、技術やブランドの模倣など、情報セキュリティおよび知的財産権に関するリスク対策を強化します。従業員への教育、システムセキュリティの強化、不正競争防止法に基づく対応策などを支援します。

探偵・ボディーガードによる安全対策
 物理的なリスクへの備え

法的な側面だけでなく、物理的な安全確保も危機管理の重要な要素です。

現地でのリスクの高いエリアにおけるセキュリティサポート
工場や事業所の立地、従業員の通勤経路など、現地の治安状況を考慮し、リスクの高いエリアにおけるセキュリティ対策を立案・実行します。

社員や経営陣の身辺調査および不正行為の証拠収集
従業員の不正行為の疑い、競合他社への情報漏洩、特定の人物による嫌がらせなど、デリケートな問題に対して、専門の探偵が尾行・張り込み・情報収集などを通じて客観的な証拠を収集します。これにより、法的措置や社内処分に必要な確固たる証拠を確保します。

企業機密情報の漏洩防止と監視活動
重要な会議や商談時の盗聴対策、社内での情報持ち出し状況の監視、退職者による情報漏洩リスクの評価など、企業の機密情報を守るための監視活動や対策を講じます。

重要人物の警護および身の安全確保
経営層や出張者など、リスクに晒されやすい重要人物に対して、専門のボディーガードによる警護サービスを提供します。テロ、誘拐、脅迫などのリスクから身の安全を確保します。

現地当局との法的トラブル対応
 複雑な手続きを円滑に

タイの法執行機関や行政機関とのやり取りは、文化や商習慣の違いから複雑になりがちです。

企業の法的立場を守るためのアドバイス: 法的トラブルに巻き込まれた際、貴社の利益を最大限に守るための法的アドバイスを提供します。今後の見通しやリスク評価を明確にし、適切な戦略を立案します。

訴訟・紛争解決の支援: 民事訴訟、刑事事件、行政訴訟など、あらゆる法的紛争において、現地の弁護士と連携し、貴社の代理人として訴訟手続きを進めます。和解交渉、仲裁、調停など、最適な解決策を提案します。

現地の法執行機関・行政機関との交渉支援: 警察、入国管理局、労働局、税務署など、現地当局からの調査や照会に対し、法務専門家が適切な対応をサポートします。不当な要求や誤解を防ぎ、スムーズな解決を目指します。

危機管理体制の構築と従業員教育
 組織全体のリスク意識を高める

個別の問題解決だけでなく、組織全体としてリスクに強い体制を構築することが、持続的な成長には不可欠です。

緊急時の対応マニュアル策定: 自然災害、重大事故、不祥事発生など、緊急事態発生時の初期対応から収束までの具体的な行動指針を定めたマニュアルの策定を支援します。BCP(事業継続計画)の観点も踏まえた実践的な内容とします。

企業向け法務・リスクマネジメント研修の実施: 従業員や管理職を対象に、タイの主要な法規、コンプライアンスの重要性、不正防止、ハラスメント対策などに関する実践的な研修を実施します。リスク意識の向上と予防策の徹底を図ります。

社内通報制度の設計と運用支援: 組織内の不正や問題を早期に発見するための内部通報制度(ホットライン)の設計、設置、運用を支援します。通報者の保護を徹底し、安心して報告できる環境を構築します。(詳細はこちらのページをご覧ください:内部通報窓口のページリンク

タイでの事業成功には、現地の文化、商習慣、そして法制度を深く理解したパートナーの存在が不可欠です。ARMSが選ばれる理由がここにあります。

探偵とボディーガードによる物理的な安全対策も完備
法務コンサルティングだけでなく、必要に応じて専門の探偵やボディーガードによる調査・警護サービスを提供できる点がARMSの最大の強みです。目に見えるリスクから目に見えないリスクまで、包括的に貴社の安全を守ります。

万が一のトラブル発生時にも迅速かつ適切な対応が可能
タイ国内に強力なネットワークを持つARMSだからこそ、問題発生時にはスピーディーに現地へ駆けつけ、初動から解決まで一貫してサポートします。時間との勝負となる危機管理において、この迅速性は貴社の被害を最小限に食い止める大きな力となります。

タイの法制度に精通した専門家による的確なアドバイス
タイの最新の法改正や判例を常に把握し、現地の弁護士や専門家と密に連携しています。机上の空論ではない、現場に即した実践的なアドバイスを提供します。

日本企業特有の課題を理解し、実践的な解決策を提案
日本企業の文化やビジネスモデルを熟知しているため、日本企業が陥りやすいトラブルの傾向や、親会社との連携の必要性などを踏まえ、貴社に最適な、実行可能な解決策を提案します。


タイに進出する日本企業にとって、残念ながら企業内で不正(横領、背任、キックバックなど)が発生するリスクは常に存在します。しかし、不正の兆候を発見した際の「初動対応」が、その後の解決の成否、企業の損害額、そしてレピュテーションに大きく影響します。特に海外拠点であるタイにおいては、日本とは異なる法制度、文化、商慣習があるため、より慎重かつ専門的な対応が求められます。
本稿では、タイで企業不正の兆候を発見した際の最初のステップから、効果的な調査の進め方、そしてその後の法的対応について解説します。

1.不正(横領、背任、キックバックなど)の兆候を発見した際の最初のステップ

不正の兆候は、従業員からの情報提供、内部監査、会計上の不審点、取引先からの連絡など、様々な形で現れます。これらの兆候を見逃さず、迅速に対応することが重要です

  • 情報の一元化と秘匿: 不正の兆候に関する情報は、まず信頼できる少数の関係者(経営層、法務担当者など)に集約し、それ以上拡散させないように厳重に秘匿します。情報が漏洩すると、証拠隠滅や関係者による口裏合わせを許すことになります。
  • 現状の把握と評価: どのような不正が疑われるのか、関与している可能性がある人物、具体的な手口の想定、発生時期、被害額の見込みなど、現時点で把握できる範囲の情報を整理します。ただし、この段階では憶測で判断せず、客観的な情報のみを扱います。
  • 調査計画の初期立案: 大まかで構わないので、今後どのように調査を進めるか、誰が調査に当たるのか、どのような専門家の協力が必要かといった初期計画を立てます。この時点で外部の専門家への相談を検討することが重要です。

2.証拠保全の重要性(特に海外拠点での注意点)

不正調査において最も重要かつデリケートなのが「証拠保全」です。適切な証拠がなければ、不正の事実を立証できず、加害者の追及や損害回復が困難になります。

  • デジタルデータの保全: PC、スマートフォン、サーバー、クラウドサービス上のデータ、メール、チャット履歴、会計システム内のデータなど、デジタルデータは不正の痕跡が残りやすい重要な証拠源です。
  • 注意点: 自己判断で操作すると、証拠を破壊したり、改ざんされたと疑われたりするリスクがあります。必ずデジタルフォレンジックの専門家に依頼し、法的な有効性を確保した形でデータを保全する必要があります。タイにおけるデータ保全の法的手続きやプライバシー規制にも注意が必要です。
  • 物理的証拠の保全: 契約書、会計伝票、領収書、発注書、納品書、現金、物品、監視カメラ映像、入退室記録など、全ての関連書類や物品を厳重に保管します。
  • 注意点: 証拠品を勝手に移動させたり、不用意に触ったりすると、証拠能力を失う可能性があります。封印や写真撮影など、適切な方法で管理します。
  • 関係者からの情報収集: 関係者の証言も重要な証拠となり得ます。ただし、ヒアリングは法的な知識と経験を持つ者が慎重に行い、強要や誘導と受け取られないよう注意が必要です。タイ人従業員へのヒアリングでは、文化的な背景や言語の壁を考慮し、通訳の選定や質問の仕方に配慮が必要です。

3.内部調査 vs 外部専門家による調査:それぞれのメリット・デメリット

不正調査を進めるにあたり、内部のリソースで対応するか、外部の専門家に依頼するかの選択は重要です。

  • 内部調査のメリット:
  • 迅速な着手が可能。
  • 社内事情に精通しているため、情報収集がしやすい場合がある。
  • コストを抑えられる可能性がある。
  • 内部調査のデメリット:
  • 調査員の専門知識や経験が不足している可能性がある。
  • 客観性や公平性が疑われる可能性がある(特に経営層や上層部が関与する不正の場合)。
  • 証拠保全やデジタルフォレンジック対応が不十分になるリスクがある。
  • 従業員へのヒアリングが困難になる場合がある(報復を恐れるなど)。
  • 法的な知識不足から、初動対応を誤るリスクがある。
  • 外部専門家による調査のメリット:
  • 高い専門性と客観性: 不正調査の専門知識、経験、デジタルフォレンジック技術を持つプロが、客観的な視点で調査を行う。
  • 証拠能力の確保: 法的に有効な証拠収集・保全が可能。
  • 秘匿性の確保: 外部に依頼することで、情報漏洩のリスクを低減できる。
  • 時間とリソースの節約: 自社で調査を行う手間と時間を省ける。
  • 法的なアドバイスとの連携:弁護士など 法的な専門家と連携し、調査から法的措置まで一貫したサポートが可能。
  • 外部専門家による調査のデメリット:
  • コストが発生する。
  • 外部の専門家が社内事情を把握するまでに時間がかかる場合がある。
    海外拠点であるタイにおいては、言語、文化、法制度の違いから、内部調査だけでは限界があるケースが多いため、早い段階で外部の専門家(危機管理コンサルタント、法務・会計専門家、探偵など)に相談することをお勧めします。

4.警察への通報、懲戒処分、民事・刑事訴訟への連携

不正の事実が明らかになった後、企業は適切な法的措置を検討する必要があります。

  • 警察への通報(刑事告訴): 横領、背任などの犯罪行為が明白である場合、警察への通報や刑事告訴を検討します。これにより、加害者の刑事責任を追及できます。タイの警察への通報では、証拠の提出方法や説明の仕方に法的なアドバイスが必要です。
  • 懲戒処分: 就業規則に基づき、加害者に対して懲戒処分(減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇など)を行います。懲戒処分を行う際は、適切な手続きを踏み、不当解雇とならないよう法的な確認が不可欠です。
  • 民事訴訟: 不正行為によって被った損害を回復するため、加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起します。場合によっては、不正に加担した第三者(共犯者、取引先など)に対しても請求を検討します。
  • 企業内での再発防止策: 不正の根本原因を特定し、内部統制の強化、ルール改正、従業員への教育など、再発防止策を徹底することが最も重要です。
    これらの法的な手続きは、タイと日本の法律が複雑に絡み合う可能性があり、必ずタイの法律に詳しい弁護士と連携しながら進めるべきです。

5.アジア危機管理リーガルエージェンシーの不正調査サポート

アジア危機管理リーガルエージェンシーは、タイにおける企業不正の兆候発見から、徹底した調査、そして解決までの全プロセスをサポートいたします。貴社はインテリジェンスの専門家として、また労働問題の専門家と連携し、以下のようなサービスを提供します。

  • 不正の兆候発見支援と初期対応コンサルティング: 不審な点が見つかった際の初動対応、情報収集、証拠保全に関するアドバイスを提供します。
  • デジタルフォレンジック調査: 不正の疑いがあるPC、スマートフォン、サーバー等からのデジタルデータの保全・解析を行い、法的に有効な証拠を収集します。
  • 不正調査(事実調査): 内部告発や疑義情報に基づき、法的な観点から関係者へのヒアリング、証拠の収集・分析など、徹底した事実調査を実施し、不正の実態を明らかにします。
  • タイ人従業員へのヒアリング支援: 言語・文化の壁を考慮し、タイ人スタッフからの情報収集を円滑に進めるためのサポートを行います。
  • 法的措置に向けた証拠整理・報告書作成: 刑事告訴や民事訴訟に必要な証拠を整理し、法的な観点から有効な調査報告書を作成します。
  • 内部統制強化・再発防止策の提案: 不正の根本原因を究明し、再発防止のための内部統制システムの強化策や組織文化の改善策を提案します。
  • 法的な専門家(弁護士)との連携:刑事告訴、民事訴訟、懲戒処分など、不正に対する法的な対応について、タイ・日本の 法的な専門家(弁護士)と連携し、最適な解決を支援します。
    企業内の不正は、早期発見と適切な対応が極めて重要です。タイでの複雑な状況下においても、貴社の事業と信用を守るため、お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

タイ・シラチャで起こる企業内不正|日本人駐在員とタイ人スタッフ、それぞれの傾向と対策

タイ東部チョンブリー県シラチャは、多くの日系製造業が集積する重要な工業都市です。日本からの駐在員が多く在住し、現地採用のタイ人スタッフと共に日々業務に取り組んでいます。しかし、グローバルなビジネス環境においては、残念ながら企業内不正のリスクが常に存在します。

シラチャに進出している日本企業においても、日本人駐在員による不正、そして現地タイ人スタッフによる不正、それぞれ異なる傾向が見られます。本稿では、それぞれの不正の典型的な事例と、企業が講じるべき対策について解説します。

日本人駐在員による企業内不正:傾向と対策

異国の地であるタイで、長期間または初めて駐在する日本人社員が起こす不正には、以下のような傾向が見られます。

傾向:

  • 経費不正: 出張費、交際費などの水増し請求や不正流用。現地の物価感覚とのずれを利用したり、本社からのチェックが及びにくいと考える心理が働くことがあります。
  • 接待・贈賄関連: 現地の取引先や政府関係者との関係を円滑にするという名目で、過度な接待を行ったり、不適切な金銭や物品を提供したりする。日本の商習慣や倫理観とのずれが生じやすい領域です。
  • 会社資産の私的流用: 会社の車両、備品、福利厚生施設などを私的に利用する。タイでの生活に慣れるにつれて、公私混同が生じやすくなることがあります。
  • 情報漏洩: 退職後のキャリアを見据え、会社の機密情報や顧客情報を不正に持ち出す。
  • 権限の濫用: 現地での裁量権が大きいことを利用し、個人的な利益を図る。

対策:

  1. 赴任前・赴任後のコンプライアンス研修の徹底: 日本本社とタイ現地の法律、社内規定、倫理規範について、日本語で詳細な研修を実施する。特に、経費規定、接待に関するルール、情報管理の重要性などを強調する。
  2. 明確な内部規程と承認プロセスの確立: 経費申請、接待交際費の支出、資産管理などに関する内部規程を明確に定め、複数部署による承認プロセスを導入する。規程は日本語とタイ語の両方で作成し、全従業員に周知徹底する。
  3. 定期的な内部監査と管理強化: 日本本社主導による定期的な内部監査を実施し、会計処理や業務プロセスにおける不正リスクをチェックする。必要に応じて、抜き打ち監査も検討する。
  4. 内部通報制度(ホットライン)の設置と周知: 日本本社が直接管理する内部通報窓口を設置し、不正行為に関する情報を日本語で匿名で通報できる仕組みを構築する。通報者のプライバシー保護を徹底する。
  5. 本社からの継続的なコミュニケーション: 日本本社の経営層や管理部門が、定期的にWEB会議や出張などを通じて現地駐在員とコミュニケーションを取り、「本社が見ている」という意識を醸成する。

現地タイ人スタッフによる企業内不正:傾向と対策

現地採用のタイ人スタッフによる不正は、その文化や雇用環境を考慮した対策が必要です。

傾向:

  • 小口現金や経費の不正流用: 日常的な業務で扱う小口現金や、比較的少額な経費を不正に流用する。
  • 物品の横領・窃盗: 会社の備品、製品、原材料などを持ち出す。
  • 在庫管理の不正: 在庫数を改ざんしたり、不良在庫を隠蔽したりする。
  • 業者との癒着: 仕入先や委託業者と共謀し、不当な利益を得る(キックバックなど)。
  • タイムカードの不正: 実際には勤務していない時間を記録したり、同僚のタイムカードを不正に打刻したりする。
  • 情報漏洩: 顧客情報や営業秘密などをライバル企業に漏洩させる。

対策:

  1. 採用時の 入念な身元調査: 採用時に、可能な範囲で職務経歴や前職でのトラブルなどを調査する。
  2. 明確な職務分掌と牽制機能の強化: 一人の担当者に重要な業務を集中させず、複数担当者によるチェック体制や職務分掌を明確にする。例えば、発注担当と支払い担当を分けるなど。
  3. 定期的な棚卸しと資産管理の徹底: 現金、在庫、備品などの定期的な棚卸しを実施し、帳簿との差異を徹底的に確認する。入出庫管理を厳格に行う。
  4. 内部通報制度(ホットライン)の設置と周知: タイ語で利用可能な内部通報窓口を設置し、タイ人スタッフが安心して不正情報を通報できる環境を整備する。通報者保護を明確にする。
  5. コンプライアンス研修の実施(タイ語): タイの法律、社内規定、倫理規範について、タイ語で分かりやすく研修を実施する。具体的な事例を交え、不正行為のリスクと結果を理解させる。
  6. 業務評価制度と報酬制度の見直し: 透明性の高い 業務評価清楚制度を導入し、不正行為を行った従業員には厳正な処分を行うことを明確にする。適切な報酬制度を整備することも、不正の動機を減らす上で重要となる。
  7. 現地管理職への権限委譲と責任の明確化: 現地の状況をよく理解しているタイ人管理職に適切な権限を委譲し、不正防止に対する責任を明確にする。

アジア危機管理リーガルエージェンシーがお手伝いできること

アジア危機管理リーガルエージェンシーでは、シラチャをはじめとするタイ全土の日系企業様に対し、企業内不正に関する複雑なサポートを提供しております。

  • 不正リスクアセスメント: 貴社の事業内容や組織体制を分析し、潜在的な不正リスクを特定、評価します。
  • 不正調査: 不正の疑いがある場合、 法的な観点に基づいた慎重な事実調査を実施し、証拠を収集します。
  • 不正対策の策定と導入支援: 調査結果に基づき、実効性のある不正防止策、内部規程、内部通報システムの策定と導入を支援します。
  • コンプライアンス研修の企画・実施: 日本語およびタイ語によるコンプライアンス研修を、貴社のニーズに合わせてカスタマイズして提供します。
  • 法的アドバイスと訴訟支援:不正行為が発覚した場合の法的な対応、告発手続き、損害賠償請求などを法律専門家と連携してサポートします。