企業を蝕む背任・横領:発覚から解決までの道筋と徹底調査の重要性


警察庁の発表によると、全国で報告されている横領による被害総額は年間140億円に上ります。しかし、これは氷山の一角に過ぎず、警察沙汰になっていない企業内不正を合わせると、その実態は計り知れません。背任や横領は、企業の財務を直接的に脅かすだけでなく、従業員の士気を低下させ、顧客や取引先からの信用をも失墜させる、まさに企業を蝕む癌のような存在です。


アジア危機管理リーガルエージェンシーは、不正調査の専門家として、また労働問題の専門家と連携し、単なる問題原因の特定にとどまらず、根本的な解決まで貴社をサポートいたします。

横領・背任を証明するために必要な証拠
横領や背任行為の疑いが生じた場合、最も重要なのは「証拠」を確保することです。感情的にならず、冷静かつ法律的な有効性を考慮した証拠収集が求められます。

◾️物的証拠:

会計帳簿、伝票、領収書、請求書: 不正な支出、架空の取引、売上金の着服などを示す基幹的な証拠。

銀行口座の取引履歴: 不審な送金、入金、引き出しの記録。個人口座への入金は特に重要。

在庫管理記録、棚卸しリスト: 在庫の不足や不一致を示す証拠。

契約書、議事録: 背任行為における意思決定プロセスや、不当な契約内容を示す証拠。

PC、スマートフォン、USBメモリ等のデジタルデータ: メール、チャット履歴、ファイル送受信履歴、Web閲覧履歴、操作ログなど、不正行為の計画や実行、証拠隠滅の痕跡。

◾️人的証拠:

関係者の証言: 不正行為を目撃した従業員、取引先、被害者の証言。ただし、証言の信憑性を高めるためには、詳細なヒアリングと複数の証拠との整合性が重要です。

◾️物理的証拠:

監視カメラ映像: 現金の持ち出し、物品の搬出入、不審な人物の出入りなど。

入退室記録: 不審な時間帯の入退室記録など。
これらの証拠は、法的な手続きを進める上で不可欠であり、後の刑事告訴や民事訴訟において強力な武器となります。

横領・背任を発見見したときやってはいけないこと

やるべき事

◯情報と証拠の保全: まずは、疑わしい会計データ、デジタルデータ、書類などをこれ以上改ざんされないよう、迅速に保全します。デジタルデータの場合は、専門家によるフォレンジック調査が必要です。

◯法律専門家への相談:弁護士やリスクマネジメントの専門家に直ちに相談し、法的な観点からのアドバイスを受けます。初動対応を誤ると、証拠の散逸や加害者からの反発を招く可能性があります。

◯情報漏洩の防止: 社内外への情報漏洩を厳重に管理し、関係者以外には口外しないよう徹底します。情報が漏れると、加害者が証拠隠滅を図ったり、世間からの不要な憶測を招いたりするリスクがあります。

◯事実関係の冷静な確認: 感情的にならず、客観的な事実に基づいて状況を把握します。個人的な感情で加害者を決めつけることは避け、 право的な手続きに則って進めます。


やってはいけないこと

✖︎加害者への直接的な詰問や追及: 証拠不十分のまま加害者に直接詰め寄ると、証拠隠滅を図られたり、パワハラだと主張されたりするリスクがあります。

✖︎自己判断でのデジタルデータの操作: 不慣れな者がデジタルデータを操作すると、証拠を破壊したり、改ざんされたと疑われたりする可能性があります。必ず専門家に依頼してください。

✖︎独断での社内調査: 調査能力や法的な知識がないまま社内調査を進めると、不適切な調査方法が問題視されたり、従業員からの不満が高まったりする可能性があります。

✖︎感情的な報復や解雇: 不正が発覚したからといって、法的な手続きを経ずに即座に解雇したり、不当な報復をしたりすると、後で不当解雇として訴えられるリスクがあります。

◾️事例

◯事例1:経理担当者による着服
タイにある日系企業の経理担当者が、取引先からの入金の一部を自社の口座に振り込まず、自身の個人口座に送金し続けていた。この行為は、決算書や入金明細の改ざんによって隠蔽されていたが、数年にわたる不自然な数字の動きに気づいた外部監査法人の指摘により発覚。デジタルフォレンジック調査によって、改ざんされたデータと実際の送金履歴が突き止められ、横領の事実が証明された。

◯事例2:営業担当者による背任行為
日本本社からタイに赴任していた営業部長が、自身が過去に勤務していた別の会社に対し、市場価格よりも著しく高い価格で商品を売りつけ、個人的なキックバックを得ていた。この行為は、通常の取引価格からの逸脱、特定の取引先への異常な集中、不透明な会議費計上などから発覚。関係者のメール履歴や通話記録、出張経費の精査により、背任の意図と損害の存在が明らかになった。

◾️傾向と対策
近年、横領や背任の手口は巧妙化し、デジタル化の進展に伴い、証拠が隠滅されやすくなっています。特に、海外拠点では言語や文化の壁、監視の目の届きにくさから、不正が起こりやすい傾向にあります。

◯デジタル化の進展: クラウドサービス、SNS、暗号資産などを利用した不正が増加しており、従来の監査手法だけでは発見が困難になっています。デジタルフォレンジックの重要性が増しています。

◯複雑化する不正スキーム: 単純な着服だけでなく、架空取引、循環取引、キックバック、利益供与など、複数の関係者が関与する複雑な不正が増えています。

◯権限集中とチェック機能の不全: 中小企業や海外拠点では、少人数で業務を回すため、特定の個人に権限が集中しやすく、チェック機能が十分に働かないケースが見られます。
対策:

◯強固な内部統制システムの構築:

業務分掌の徹底: 一人の担当者に権限と責任が集中しないよう、承認プロセスや会計処理を複数名でチェックする体制を構築する。

定期的な内部監査: 独立した立場からの内部監査を定期的に実施し、不正の兆候を早期に発見する。

アクセス権限の厳格化: システムや重要データへのアクセス権限を最小限に絞り、アクセスログをモニタリングする。

◯デジタルフォレンジック対策の強化:

不正が疑われる場合、安易な自己調査は避け、専門家によるデジタルフォレンジック調査を実施する。

日頃からデジタルデータの保全ルールを定め、バックアップを徹底する。

◯内部通報制度の整備と運用:

従業員が匿名で、かつ安心して不正を報告できる内部通報窓口を設置する。外部の専門機関に委託することで、公平性と信頼性を高める。

通報者保護を徹底し、報復措置がないことを明確に周知する。

◯コンプライアンス意識の醸成と研修:

全従業員に対し、不正行為は企業と個人の双方に深刻な影響を与えることを認識させるためのコンプライアンス研修を定期的に実施する。

経営層からの強いメッセージ発信と、倫理規範の明確化が不可欠。

◯法律専門家との連携:不正発覚時の法律 的な対応(刑事告訴、民事訴訟、懲戒処分など)について、 法律専門家と事前に連携体制を構築しておく。

アジア危機管理リーガルエージェンシーができる事
アジア危機管理リーガルエージェンシーは、企業を背任・横領の脅威から守るため、以下の専門的なサービスを提供しています。

  • 不正の兆候発見支援: 貴社の会計データや業務プロセスを分析し、不正の兆候を早期に発見するためのコンサルティングを行います。
  • デジタルフォレンジック調査: 不正の疑いがあるPC、スマートフォン、サーバー等からのデジタルデータの保全・解析を行い、法的に有効な証拠を収集します。
  • 不正調査(事実調査): 内部告発や疑義情報に基づき、関係者へのヒアリング、証拠の収集・分析など、徹底した事実調査を実施し、不正の実態を明らかにします。
  • 法的措置に向けた証拠整理・報告書作成: 刑事告訴や民事訴訟に必要な証拠を整理し、法的な観点から有効な調査報告書を作成します。
  • 内部統制強化・再発防止策の提案:不正が発覚した場合、その根本原因を究明し、再発防止のための内部統制システムの強化策や組織文化の改善策を提案します。
  • 危機管理コンサルティング: 不正発覚によるレピュテーションリスク管理、メディア対応、従業員への説明など、総合的な危機管理をサポートします。
  • 法律専門家(弁護士)との連携:刑事告訴、民事訴訟、懲戒処分など、不正に対する法的な対応について、タイ・日本の 法律専門家(弁護士)と連携し、最適な解決を支援します。
    企業内の背任・横領は、決して看過できない問題です。早期の発見と適切な対応が、企業の損害を最小限に抑え、信頼を回復するための鍵となります。ご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
    【お問い合わせ】
    アジア危機管理リーガルエージェンシー
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