タイにおける企業の危機管理広報:SNS炎上・風評被害への対応
タイは「微笑みの国」として知られ、温かい人々と豊かな文化が魅力の国です。しかし、ソーシャルメディア(SNS)の普及が進む現代において、企業が予期せぬ「炎上」や「風評被害」に直面するリスクは、日本と同様に、いや時にはそれ以上に高いと言えます。特にインバウンド観光が盛んなタイでは、ひとたびネガティブな情報が拡散されれば、企業ブランドだけでなく、日本のイメージ全体にも影響を及ぼしかねません。
本稿では、タイ社会におけるSNSの浸透とそのリスク、炎上発生時の対応の重要性、そしてアジア危機管理リーガルエージェンシーが提供できるサポートについて解説します。
◾️タイ社会でのSNSの浸透と炎上リスク
タイは、世界でも有数のSNS利用率が高い国の一つです。Facebook、LINE、TikTok、X(旧Twitter)などが国民の生活に深く浸透しており、情報伝達のスピードは驚異的です。良い評判も瞬く間に広がる一方で、ネガティブな情報、特に企業の不祥事や従業員による不適切な言動などは、あっという間に拡散され、「炎上」を引き起こす可能性があります。
タイならではのSNS炎上リスクには、以下のような特徴が挙げられます。
- 「シェア」文化: 気になった情報を気軽に共有する文化が根強く、拡散力が非常に高いです。
- 「正義感」の爆発: 不公平な扱い、サービスの質の低下、従業員による不適切行為などに対し、強い「正義感」から多くのユーザーが参加し、集団での批判につながることがあります。
- 噂の拡散: 事実確認が不十分なまま、根拠のない噂や憶測が広がりやすい傾向があります。
- 外国人企業への注目: 日本企業を含む外国企業は、タイ社会から一定の注目と期待を集める一方で、ひとたび問題を起こせば、より厳しく批判される傾向があります。
◾️企業ブランドへの影響と、インバウンド観光への影響
SNS炎上や風評被害は、企業にとって計り知れない損害をもたらします。
- 売上・利益の減少: 顧客からの信頼を失い、商品やサービスの購入を控える消費者が増加します。特に、飲食業やサービス業では直接的な打撃となります。
- ブランドイメージの毀損: 長年築き上げてきた企業ブランドが、一夜にして地に落ちる可能性があります。企業価値の低下、採用活動への悪影響も懸念されます。
- 従業員の士気低下: ネガティブな情報が拡散されることで、従業員が精神的な負担を感じ、離職率の増加や生産性の低下につながることがあります。
- インバウンド観光への影響(特に日本企業の場合): 日本企業がタイで問題を起こした場合、その情報が日本のSNSやニュースサイトにも波及し、タイへのインバウンド観光客(特に日本人)の減少につながる可能性もゼロではありません。
◾️炎上発生時の初動対応とメディア・SNS対応の重要性
ひとたび炎上が発生した場合、その後の対応が企業の命運を分けます。最も重要なのは、「迅速かつ誠実な初動対応」です。
- 事実確認と情報収集の徹底:
- 何が、いつ、どこで、誰によって、どのように発生したのかを正確に把握する。
- SNS上の投稿内容、コメント、拡散状況などを徹底的にモニターし、正確な情報を収集する。
- 社内連絡体制の確立:
- 問題発生時に誰が、どこに、どのように報告するかを明確にし、情報を一元管理する体制を整える。
- 広報、法務、関連部署が連携し、迅速に意思決定ができるようにする。
- 迅速かつ誠実なメッセージ発信:
- 事実が判明次第、速やかに公式な声明を発表する(SNS、ウェブサイト、プレスリリースなど)。
- 曖昧な表現や言い訳はせず、事実を認め、謝罪すべき点があれば誠実に謝罪する。
- 原因究明と再発防止策について具体的に言及し、信頼回復への姿勢を示す。
- タイ語での正確なメッセージ発信が不可欠です。文化的なニュアンスにも配慮が必要です。
- メディア・SNS対応の専門性:
- 記者からの問い合わせやSNS上のコメントに対し、一貫性のあるメッセージで対応する。
- 安易な反論や、感情的な対応は火に油を注ぐことになりかねません。
- 必要に応じて、専門家(危機管理コンサルタント、弁護士)と連携し、適切な対応を行う。
◾️危機管理広報の専門家との連携
SNS炎上や風評被害は、現代の企業経営において避けて通れないリスクです。しかし、自社だけで全てを解決しようとすると、かえって事態を悪化させる可能性があります。
- 客観的な視点と専門知識: 危機管理広報の専門家は、客観的な視点から状況を分析し、 法的な側面も考慮した上で、最も効果的な広報戦略を立案します。
- 迅速な対応: 炎上はスピードが命です。専門家は、事態の緊急性に応じて、迅速かつ的確なアドバイスと実務サポートを提供します。
- メディア・SNSとの関係構築: 専門家は、日頃からメディアやSNSのトレンドを把握しており、彼らとの適切なコミュニケーション方法を熟知しています。
◾️アジア危機管理リーガルエージェンシーのサポート
アジア危機管理リーガルエージェンシーは、タイに進出する日本企業の皆様が、SNS炎上や風評被害の危機に直面した際に、総合的なサポートを提供いたします。
- 危機管理体制構築支援: 平時からのSNSリスクマネジメント体制構築、社内ガイドライン策定、従業員向け研修などをサポートします。
- リスクモニタリング: 貴社や競合、関連業界に関するSNS上の情報を継続的にモニタリングし、炎上リスクの早期発見に努めます。
- 初動対応コンサルティング: 炎上発生時、速やかに事実確認、 法的なアドバイス、社内連絡体制の確立をサポートします。
- メッセージング支援: 公式声明文やSNSでのコメント作成、記者会見での発言内容など、タイの文化や社会情勢を踏まえた適切なメッセージングを支援します。
- 法律専門家との連携:タイのメディア関連法や名誉毀損に関する法規に詳しい弁護士と連携し、 法的な観点からの対応を支援します。
- 再発防止策の提案: 危機を乗り越えた後、同様の事態を二度と起こさないための組織改善やルール策定をサポートします。
タイにおけるビジネス環境は、情報社会の進展とともに常に変化しています。SNS炎上や風評被害は、企業の存続をも脅かす重大なリスクであり、決して軽視できません。平時からの準備と、有事の際の迅速かつ専門的な対応が、貴社のブランドを守る鍵となります。ご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ】
アジア危機管理リーガルエージェンシー
https://arms-agency.com/contact/

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