【要注意】タイの禁酒日に日本人が飲酒出勤!企業が取るべき適切な対応とは


タイで事業を展開する日系企業の皆様、従業員の飲酒問題はデリケートでありながら、放置すれば大きな問題に発展する可能性があります。特に注意が必要なのが、タイには日本にはない「禁酒日」が存在するということです。
もし、タイの禁酒日に日本の従業員が飲酒して出勤してきた場合、企業はどのように対応すべきでしょうか? 日本の常識だけで判断してしまうと、思わぬ法律違反や労務トラブルにつながる可能性があります。
本稿では、タイの禁酒日の概要と、日本人が飲酒して出勤してきた際の企業が取るべき適切な対応について、法的な側面と企業のリスク管理の観点から解説します。

  1. 知っておくべきタイの「禁酒日」とは
    タイでは、以下の特定日にアルコール類の販売が法律で禁止されています。
  • 仏教関連の祝日: 万仏節、仏誕節、三宝節、入安居・出安居など
  • 選挙投票日: 国政選挙や地方選挙の投票日
  • その他政府が定める日: 例年、年末年始など
    これらの禁酒日には、商店、レストラン、バーなど、あらゆる場所でアルコールの販売が禁止されます。違反者には罰則が科せられることもあります。

2.日本人従業員が禁酒日に飲酒出勤した場合のリスク
日本の習慣では、業務時間外の飲酒は個人の自由であり、出勤に支障がなければ問題視されないことが多いかもしれません。しかし、タイの禁酒日に飲酒して出勤した場合、以下のようなリスクが考えられます。

  • タイの法律に抵触する可能性: 従業員本人が禁酒日に飲酒した行為が、タイの法律に触れる可能性があります。
  • 会社の責任を問われる可能性: 従業員の飲酒によって会社の秩序が乱れたり、対外的な信用を損なうような事態が発生した場合、会社が責任を問われる可能性があります。
  • 安全配慮義務違反: 飲酒した状態で業務に従事させることは、労働者の安全を確保する企業の義務(安全配慮義務)に違反する可能性があります。特に、機械操作や運転業務など、安全管理が重要な業務においては重大なリスクです。
  • 社内規律違反: 多くの企業では、就業規則で勤務中の飲酒や飲酒運転を禁止しています。禁酒日の飲酒出勤は、これらの社内規律に違反する可能性があります。
  • 他の従業員への影響: 禁酒日に一部の従業員が飲酒を許容されるような状況は、他の従業員の不公平感を招き、職場全体の士気を低下させる可能性があります。

3.禁酒日に飲酒出勤した従業員への適切な対応ステップ
禁酒日に日本人従業員が飲酒して出勤してきた場合、企業は以下のステップで冷静かつ適切に対応する必要があります。


ステップ1:事実確認と状況把握

  • まずは、本当に飲酒しているのか、また飲酒している場合はどの程度の酩酊状態にあるのかを客観的に確認します。
  • 事実であれば、複数人で確認し、記録を残すようにしましょう。
  • 本人に状況を確認する際は、高圧的な態度を避け、冷静に話を聞くように努めます。

  • ステップ2:業務の中止と安全確保
  • 飲酒していると判断された場合、直ちに当該従業員の業務を中止させます。
  • 特に、安全管理が重要な業務(機械操作、運転業務など)への従事は絶対に避けるべきです。
  • 必要に応じて、休憩室などで休息させるか、安全な方法で帰宅させる手配を検討します。
    ステップ3:事情聴取と記録
  • 後日、改めて本人から飲酒の理由や状況について詳しく事情聴取を行います。
  • 聴取内容、確認された事実、対応措置などを書面に記録として残します。
  • 飲酒に至った背景に、健康問題や個人的な悩みなどの可能性も考慮し、 カウンセリングを検討することも重要です。
    ステップ4:就業規則に基づいた処分
  • 企業の就業規則に、飲酒に関する規定(勤務中の飲酒、飲酒運転など)が定められているかを確認します。
  • 禁酒日の飲酒出勤が就業規則の懲戒事由に該当するかどうかを判断し、該当する場合は規則に則った処分を検討します。
  • 懲戒処分を行う場合は、その理由と根拠を明確に本人に伝え、停職期間を確保することが重要です。
    ステップ5:再発防止策の検討と周知
  • 今回の事態を教訓として、再発防止策を検討します。
  • タイの禁酒日に関する情報や、社内の飲酒に関するルールを改めて全従業員に周知徹底します。
  • 必要に応じて、アルコールに関する 교육 や相談窓口の設置なども検討します。
  1. 日本人従業員への 注意点
    日本の習慣との違いから、タイの禁酒日や飲酒に関するルールに対する認識が甘い日本人従業員もいるかもしれません。

入社時のオリエンテーションや研修での説明: タイの禁酒日や社内の飲酒ルールについて、入社時に必ず説明を行い、理解を促します。

定期的な注意喚起: 禁酒日が近づく際には、事前にメールや掲示板などで注意喚起を行います。

文化や習慣の違いへの理解: 一方的に禁止するだけでなく、タイの文化や習慣、禁酒日の意味合いなどを理解させることも重要です。
まとめ
タイの禁酒日に日本人従業員が飲酒して出勤してきた場合、企業は法的リスク、安全配慮義務、社内規律維持の観点から、冷静かつ適切な対応を取る必要があります。日本の常識にとらわれず、タイの法律や社内規定に基づいた対応を心がけましょう。


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