小規模だからこそ目を光らせる!タイ進出中小企業・非製造業向け不正対策
タイは、長年にわたり多くの日本企業にとって重要な進出先であり続けています。近年では、大企業に加え、中小企業や飲食店、サービス業といった非製造業の進出も増加傾向にあります。しかし、これらの比較的小規模な企業や、製造業とは異なるビジネスモデルを持つ企業は、大企業とは異なる特有の不正リスクに直面する可能性があります。
本稿では、タイに進出する中小企業や非製造業の日本企業で起こりやすい不正の事例と、その対策について解説します。
中小企業・非製造業で起こりやすい不正の落とし穴
大企業のような複雑な組織構造や多層的なチェック体制が整っていない中小企業や非製造業では、以下のような不正が発生しやすい傾向にあります。
◾️従業員の横領・窃盗:
背景: 少人数で業務が分担されにくく、一人の従業員が複数の業務を担当することが多いため、現金の着服や商品の持ち出しなどが比較的容易に行われやすい
⚪︎飲食店の店長が売上の一部を懐にに入れる。
⚪︎小売店の従業員が商品を自宅に持ち帰る。
⚪︎サービス業の従業員が会社の備品を私的に流用する。
◾️経費の不正請求
背景: 経費精算のチェック体制が緩い場合、架空の経費を計上したり、私的な支出を会社の経費として請求したりする不正が発生しやすい。
例:
⚪︎営業担当者が実際には行っていない出張の費用を請求する。
⚪︎領収書を改ざんして経費を水増しする。
⚪︎個人的な飲食代を会社の交際費として計上する。
◾️顧客情報の不正利用・持ち出し:
背景: 顧客情報が複数人に管理されておらず、担当者 ひとりで管理されている場合、退職時などにライバル企業へ持ち出されたり、不正に利用されたりするリスクがある。
⚪︎美容室の従業員が顧客リストをライバル店に提供する。
⚪︎ECサイト運営会社の従業員が顧客情報を不正に販売する。
⚪︎語学学校の講師が顧客情報を নিজের セミナー勧誘に利用する。
◾️知的財産の侵害:
背景: ブランドイメージや独自のノウハウが重要な非製造業では、従業員がその情報をライバル企業に漏洩させたり、模倣品製造に関与したりするリスクがある。
⚪︎レストランのシェフが秘密のレシピをライバル店に教える。
◯デザイン会社の従業員が開発中のデザイン案を外部に漏らす。
◯IT企業のプログラマーがソースコードを不正にコピーする。
◾️ハラスメントや不当な労働慣行:
背景: 経営者や管理者の知識不足や認識不足から、意図せずハラスメントが発生したり、労働法規に違反した不当な労働慣行が行われたりする。
例:
⚪︎上司が部下に対してパワハラやセクハラを行う。
⚪︎残業代を適切に支払わない。
⚪︎不当な解雇を行う。
中小企業・非製造業向け不正対策のポイント
大企業のような大規模な投資が難しい中小企業や非製造業が、効果的に不正対策を行うためには、以下の点に注力する必要があります。
◾️経営者の強いコミットメントと意識向上: 経営者自身が不正リスクを認識し、不正を許さないという強い姿勢を示すことが最も重要です。
◾️内部統制の基礎の構築:
◯業務分掌の原則: 可能であれば、ひとりの担当者に全ての業務を集中させず、複数の担当者でチェックし合う体制を作る。
◯承認プロセスの明確化: 経費精算、仕入れ、支払いなど、重要な業務プロセスにおける承認者を明確にする。
◯定期的なチェック:現金残高の確認、売上データの分析 、経費精算の内容チェックなどを定期的に行う。
◯従業員との信頼関係の構築とコミュニケーションの促進:
◯風通しの良い職場環境を作り、従業員が不正を見聞きした場合に報告しやすい雰囲気を作る。
◯定期的な個人面談などを通じて、従業員の状況や不満を把握する。
◾️リスクの高い業務の重点的な監視:
現金を取り扱う業務、顧客情報にアクセスする業務、知的財産に関わる業務など、不正リスクの高い業務を重点的に監視する。
◯必要に応じて、監視カメラの設置やアクセスログの解析などの継続的な対策を導入する。
◾️退職者管理の徹底:
退職する従業員のアクセス権限を速やかに停止する。
顧客情報や機密情報が持ち出されるリスクがないかモニタリングする。
必要に応じて、競業避止義務契約などを締結する。
◾️法的知識の習得と法律専門家との連携:
タイの労働法や関連法規を理解し、自社のビジネスに適用する。
必要に応じて、法律専門家(弁護士、労務士など)に相談し、適切なアドバイスを受ける。
◾️内部通報制度の導入(小規模でも有効):
規模が小さい企業でも、従業員が匿名で不正を報告できる窓口を設けることは有効です。外部の法律事務所やコンサルティング会社が提供する内部通報窓口サービスを利用することも検討しましょう。
◾️アジア危機管理リーガルエージェンシーがお手伝いできること
アジア危機管理リーガルエージェンシーでは、タイに進出する中小企業や非製造業の皆様が、高課程に不正リスクを管理するための 総合的なサポートを提供しております。
◯不正リスク評価 : 貴社の事業内容や組織体制を分析し、潜在的な不正リスクを特定します。
◯内部統制システム構築支援: 実効性のある内部統制システムの構築を、規模や予算に合わせてサポートします。
◯従業員向けコンプライアンス研修: 不正リスク、企業 エシックス、内部通報制度などに関する研修を、タイ語で実施します。
◯内部通報窓口サービスの提供: 外部の独立した窓口として、従業員からの不正に関する情報を受け付け、初期対応を支援します。
◯不正調査支援: 万が一、不正が発生した場合の事実調査、証拠収集、 право的な対応をサポートします。
◯法律専門家(弁護士、労務士)のご紹介:** 必要に応じて、信頼できるタイの法律専門家をご紹介します。
小規模な企業であっても、不正リスクへの対策は企業の持続的な成長と信頼確保のために不可欠です。 投資が限られている中小企業・非製造業だからこそ、効率的かつ効果的なリスクマネジメントを実践しましょう。ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
【お問い合わせ】
アジア危機管理リーガルエージェンシー
https://arms-agency.com/contact/

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